
発売・販売元:ポニーキャニオン
引用元:【ローン・サバイバー】映画本編より
まず驚いたのがこの作品、日本では究極のバカ映画と言われた作品【バトルシップ】を撮った監督のピーター・バーグがメガホンを握った作品という事です。バトルシップとは浅野忠信やアーティストのリアーナも出演し、制作費200億円というとんでもない金額ながらその半分も回収できなかった作品です。制作費もとにかくやばいのですが、ストーリーもさる事ながら、主人公がとにかく破天荒バカで、「女ん子のためなら万引きもしちゃう!」という、なんじゃこれ?なストーリーでした。
その究極のバカ映画と言われた映画を撮った監督がですよ?2014年にはアカデミー賞最有力候補とまで期待される作品をつくってしまったんです。
Contents
【ローン・サバイバー】はどんな映画?
とても深く考えさせられる作品でした。アメリカ海軍特殊舞台 ネイビー・シールズ史上最悪と言われた『レッド・ウイング作戦』を元にした実話でもあります。こんな事が実際に私たちの知らない所で起きているのか。とにかく深く考えさせられる作品。
ジャケットと、キャッチコピーから想像していた映画の内容は、銃撃戦が満載のよくある戦争映画。しかしその不安は、序盤のアメリカ海軍特殊部隊ネイビー・シールズとタリバンの人間が接触する序盤からひっくり返されました。
『200人 対 4人』という圧倒的不利な状況の中、特殊部隊どうやって戦い抜いたのか?いったいどうして生き延びる事ができたのか?エンディングのスタッフロールが流れる頃には、生きるって何なのか?今自分が背負っているもの、背負っていけるものは何なのか?という事を考えていると思います。戦争映画に興味がないとしても、ぜひ見てもらいたい作品です。
キャスト・スタッフ
監督:ピーター・バーグ

ユニバーサル映画100周年記念作品「バトルシップ」や、「コラテラル」の監督を務めています。自身も演劇や俳優業も行っていた過去があり多彩な監督。2019年1月にはマーク・ウォルバーグと4度目のタッグとなる『MILE 22』の公開も控えています。
マーク・ウォルバーグ

発売・販売元:ポニーキャニオン
引用元:【ローン・サバイバー】映画本編より
ピーター・バーグ監督とタッグを組んだのは『バーニング・オーシャン』『パトリオット・デイ』と続きこの作品が3度目。『トランスフォーマー』シリーズでも兵士役として出演し、とにかく銃の似合う俳優。実際にも過去にはやんちゃをしていたそうで、その役柄からはその背景はなかなか感じ取れない。
あらすじ
作戦に参加した4人のシールズは、アフガンの山岳地帯での偵察任務中、ある「決断」により200人超のタリバン兵の攻撃にさらされる。
それは世界一の戦闘能力を誇る隊員たちも死を覚悟する絶望的な状況だった。
しかし、あるひとりの兵士がその極限状況を生き延び、奇跡の生還を果たす。
いったい彼は、どうやって4人対200人超の過酷な戦場をサバイブすることができたのか?引用: 【ローン・サバイバー】公式サイト
2014年アカデミー賞2部門ノミネート
2014年にはアカデミー賞録音賞と音響編集賞の2部門にノミネートされました。第85回ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞や、第19回放送映画批評家協会賞の受賞など、多くの賞を受賞している作品です。
痛みを無視する精神力
『200人 対 4人』この中で生き残る事ができたのはたったの1人。生き残る事ができたのは、多くの犠牲と奇跡の重なりでした。
作戦中の道中で偶然出くわしてしまった無防備なタリバンに会う所からレッド・ウイング作戦の戦況は一変。兵士意外は攻撃しないというシールズの思いは無情にも、相手国のアフガンに一気に攻め込まれる事になります。
地理を知り尽くしているアフガンに一気に攻め込まれ、一気にピンチになり、銃弾を数多く被弾するシールズですが、手の指がなくなろうとも、足の指を撃たれようとも、『俺を見ろ!』という魔法の言葉で隊員はその場を凌ぎます。痛いのにこんな精神力なんて考えられません。
アクションが凄い
戦争映画ながらアクション要素もあります。しかし、ワイヤーを使ったりCGを使ったりという「わー!すごーい!」という子供騙しのアクションではありません。
崖から落ちます。しかも銃を背負いながら。
とにかくこの落下シーンは見ていて痛かったです。いったいどうやって撮影しているのか?本物の銃ではないにしても、当たり所悪ければ大事故になりかねない、骨なんて簡単に折れてしまいそうなシーンがあります。
絶望と希望の連続
数では圧倒的不利な中、やっとの思いで基地に救援を求める事ができたシールズですが、残念ながらこれが一筋縄では行きません。場所に到着した新人シールズ隊員は撃ち落とされ、唯一の希望の綱はなくなってします。
生き残り共に戦ってきた仲間も撃たれてしまい、最終的に残ったのはたったの1人。アフガンに保護されやっと安眠が取れるかと思ったらまたタリバンからの総攻撃。
息つく間もない展開から目が離せません。
アフガンがかっこいい
シールズを保護してくれたアフガンがとにかくかっこいい!同じ村に住む住民からは「また他国の人間を助けたのか」という冷めた目で見られる中、自分の信念を貫き通す住民。
最終的には、シールズの隊員を保護した事が見つかってしまい連れていかれるのですが、それを住民一致団結で阻止するシーンは最高です。
国境を越えた団結
シールズを保護した事が見つかったアフガンは、怒り狂ったタリバンに攻め込まれます。せっかく助けてくれた村の住民が一人、また一人と倒れていく中、「シールズの隊員はここにいる」と知らせを受け取った米軍が間一髪で到着。
攻め込まれている村を助け出します。このシーンは鳥肌ものでした。
ローンサバイバーの見どころ
まったく武装していないヤギ使いを解放するのか?それとも・・・?
自分が犠牲になり仲間たちのために助けを呼ぶのか?それとも・・・?
全く援護のない状態で救援に向かうのか?それとも・・・?
自分たちに関係のない人間を生かすのか?それとも・・・?
この作品は決断の連続です。しかも、結果がどちらに転ぼうとも、自分たちにとっては決していい方向にすすむ可能性はほとんどないんです。そんな中で究極の決断を幾度となくしていかなくてはいけません。究極の決断をする時、人は何を信じて決断するのか?
いつも私たちが使えている体の一部が、ひとつ、またひとつと傷付いていきます。それでも四方八方から攻められるシールズ。銃を背負ったまま崖から落下するシーンはとにかく痛い!
結果的に生還できたのはたったの1人。犠牲になったのネイビー・シールズの兵士は、最初敵地に向かった兵士以外に救援に向かっていったシールズ16人。つまり、合計19人もの兵士が犠牲になっています。
この兵士は生還し、帰国し、いったいどういう気持ちだったのでしょうか?恋人がいる者、子供がいる者、さまざまな兵士がいましたが、生還した兵士はそれらをたった一人で背負っていかなければならないのです。亡くなっていった兵士の親族からどう思われようと、周りやメディアからなんと言われようと、たった一人でその苦しみを背負っていくんです。仲間を助けようと亡くなっていった仲間の思いと共に。
この作品を見て・・・
LONE SUVIVORのLONEとは、【一人、孤独】という意味です。結果的に戦場では一人になってしまい、生還はするものの、今まで一緒に戦ってきた仲間はもういない。戦場だけではなく、帰国してからも仲間の死をたった一人で背負い、【一人、孤独】な戦いをしていかなければならなかった。その後彼はどのようにして生きているのか?実在する彼の現在もちゃんと描いてくれている作品です。
では自分は今いったい何を背負っているのか?何かを胸にして生きていけているだろうか?きっとそれはなんだっていいと思います。
そう気付かせてくれた作品でした。